夜ふかし録

クラリネットの条件検討

Kind of Blue

Miles Davisを聴き始めたのは高校生くらいから。

 

このアルバムはとても有名だけど、キャッチーさという点ではそれほどキャッチーではない、と思う。どちらかというとジャズを知っている人のほうが楽しめるアルバムということだ。

ほぼ同時期の(というとジャズファンからは不正確と怒られる可能性もあるが)作品でも、'Four' & moreや、いわゆるマラソンセッションのほうが、ジャズを初めて聴く人にはおすすめできる。

 

Kind of Blueは全体を通してテンポは遅めで、リリカルな雰囲気に重心が寄っている。リリカルといっても、クラシック音楽ロマン派的な繊細さではなく、ブルースに出自をもつリリカルさを感じる。

技術的には、モードジャズの技法を取り入れていることがよく紹介されている。50年代のハードバップに比べると調性感がうすいということだろうか。ソロの雰囲気が異なっている感覚はジャズを聴き慣れているとわかると思われる。

 

スロウテンポな曲が多いので、マイルスデイビスの「音選び」をじっくり聴くことができるような気がしなくもない。

アルトサックスのアダレーはリリカルさよりはファンキーさに寄っていて、グループのなかでもプレイヤーによって雰囲気が変わる。変わりすぎて雰囲気が破綻することはなく、その点でうまくいっているアルバムなのだろう。