夜ふかし録

クラリネットの条件検討

デュリュフレ

東京・春・音楽祭の最終公演を東京文化会館で聴いてきました。(余談ですが、ほぼベッドフリーの科をローテート中なので、こういったことが可能です。やはり、休日であっても呼ばれる可能性がある科では、ゆっくり演奏会を聴きにいったとしても、どこかで後ろ髪ひかれるような思いが残ってしまう…)

演目はRVW 「トマス・タリスの主題による幻想曲」、「5つの神秘的な歌」、そしてデュリュフレ「レクイエム」。
どれも初めて聴く曲で不安もありましたが、バリトンをはじめ好演であり、楽しめました。

「トマス・タリス」はおそらく構造を把握できればもっと楽しめたのだろうと思います。幻想曲だけあって、断片的だったりまとまりが緩かったり、少しつかみどころのない曲でした。要素についても、旋法についても知識が足りない…

「5つの神秘的な歌」はレクイエムと1曲めとを連絡する役割を担っていたのですが、けっこう起伏と色彩に富んで、主役のバリトンも確信的な演奏でした。第2曲の最後のハーモニーの、やわらかいあざやかさ。
原語が聴き取れたらもっと感動が深かったのだろう…

そしてデュリュフレ
パンフレットには20世紀最高のレクイエム、と謳われていました。それが本当かどうかはともかく、たしかにこれはもっと取り上げられていい作品かもしれない。耳に残るきれいなメロディが多い、というかんじではなかったのですが、モーツァルトのレクイエムのようなどこから響いてくるのかわからない響きもあり、また、20世紀の作品ではあるものの現代音楽的なものすごい前衛さみたいなものはあまりなく(分析すれば、おそらく20世紀なかごろまでの成果は活かされているのでしょうが)、レクイエムの伝統をひきついでいるなと感じました。
都響も独唱も、東京オペラシンガーズもすばらしい仕事だったと思います。


ただ、いずれの曲も、おそらく背景を知ればより深いところからのsympathyを感じるであろう曲であり、その点もったいないことをしたなと思いました。