夜ふかし録

クラリネットの条件検討

音をあらわす言葉づかい(2)

以前の記事の続きです。

 

私の疑問は、「まるい音」とか「太い音」というのがどういうことなのか?それをある程度客観的に評価する方法はないのか?ということ。

 

客観的に評価するための、現時点でもっとも手軽で強力なのは練習を録音することでしょう。自分の演奏や練習を録音して聴き返すと、リアルタイムで自分が感じとっていたのとは違った印象を受けるはず。自分の感覚と客観的な聴こえ方を対応させ、また理想に近づくためには必要かつパワフルな手段です。

 

ここで、録音して聴こえた自分の音が「太い」

のか「豊か」なのか、「響いている」のか、それとも「苦しそう」なのか…ここではじめて、自分の音を言葉で表現することに再現性が出てくると思います。また、言葉で表すことによって、自分以外のだれかと音に対する認識を共有し、上達につなげることもできるでしょう。

 

目に見えない音を言い表すのは実は難しくて、太いとか丸いとかいった表現は、特に初心者の頃にはピンとこないのが現実なのではないでしょうか。

時に、指導者(特にクラリネットの専門家ではない指導者)はやや安易に「丸い/太い音を出して」と言うことがあり、演奏者が明確なイメージを持っていない場合は、かえってどうすればいいかわからなくなってしまうこともある…と私は思います。

 

大事なことは、出てくる音のイメージと、実際の奏法のやり方とは別々に考える必要があるということです。

太い音をめざして太い息を入れるのはよくあるパターンですが、会場の広さによっては、せっかくの音が客席まで届かなくなってしまうという副作用もしばしば見られます。

また、同じ音でも、狭い部屋で至近距離で聴くのと、大ホールの客席で聴くのとでは印象が少なからず変わることも経験されることです。

 

 …というわけで、やや話の内容が発散しはじめましたが、まとめます。

自分の出したい音がどんな音なのか、明確にイメージを持ち、言葉で表してみること。実際の演奏を録音して、イメージと現実との違いを認識すること。それぞれの状態と、奏法とを対応させること。

こういった注意で、再現性を持って演奏をgrade upする、あるいは幅を広げることができるのではないかと思っています。

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