夜ふかし録

クラリネットの条件検討

カディッシュ

久しぶりに演奏会へ。たまたま時間があき、たまたま興味をそそる演奏会の情報が目に飛び込んできたので、当日券をとって聴くことができた。

 

演目はショスタコーヴィチの第九交響曲と、バーンスタイン交響曲「カディッシュ」。演奏は都響とインバルとのコンビによる。

 

チケットを買うまで私の関心は前者のショスタコーヴィチにあった。この演奏はおおむね期待どおり、モダンな都響の音色が十分に発揮されていて満足。

しかしこの演奏会の白眉は後者のバーンスタインだった。カディッシュを聴いたのは今回が初めてだった。この日の演奏はかなり切迫した、凄みのある雰囲気を伴っていたが、……これは、2023年10月以降の世界情勢を反映していると言っていいのだろう。プログラムが決まったのは1年以上前のはずだし、その間に使用するテクストが変更になっていることも含めて、偶然のなせる業だ。

 

音楽の響きは、メシアンのように前衛的な響きがあったり、12音のようなところがあったり、変化に富んでかつ調和がとれているカラフルな響きの作品だと思った。ただ少なくとも今回の演奏に関しては、テクストのもつメッセージの強さ(そして語り手の強さ)が一歩前に出ていたように思う。

 

こういった響きの豊かさは録音には入りづらいような気がする。たとえば冒頭の声楽の伴奏をともなう語り手の語りのような場面。このような作品の魅力を十分に理解するには、演奏会場に行くほかないのだと思います。