夜ふかし録

クラリネットの条件検討

オケ映画の演技

公開中の「マエストロ」という映画を観ました。松坂桃李演じるコンマスが、西田敏行演じる訳あり凄腕指揮者に翻弄されつつオーケストラのなかで、云々、というお話です。なかなか面白かったです。
観ていていくつか思ったこと…

  • ドヤ感の表現
のだめでの玉木宏による千秋先輩にも感じましたが、若手で実力があってコンマス(香坂真一)や指揮者(千秋先輩)といったポジションを得る人物の表現として、ややリアリティに欠けるのではないか。「自分に自信がある」という点の表現では足りない何か…底知れない感じ、みたいなものがあると思います。
ただこれは玉木宏松坂桃李に求めるべきものというより、現時点で世間が抱いている「オーケストラのコンサートマスター(または指揮者)」観だから仕方がないこと、なのかもしれませんね。
個人的には、実物のオーケストラ内部の人々のほうがもっともっと複雑でもっともっと魅力的なので、それを演技の世界で表現できれば、作品のキャパシティそのものを大きくすると思うのですが。


  • 若者が主張するシーン
劇中、コンマス(松坂桃李)がマエストロ(西田敏行)に激昂する場面があります。
気になったのは、このときの松坂桃李
このキレ方、どこかで見たことある…

のだめの玉木宏にも似たところはあった気がする。他にも若手俳優による「若者が意見を主張するシーン」では同じような表現がよく使われる気がします。

その原型(?)はキムタクなのではないでしょうか。たとえば「ヒーロー」などでの。あるいは、「ちょ、待てよっ!」から始まるあのパターン。
普段はどちらかといえば気怠そうな、しかし実力ある若者が珍しく自分の意見を言うとき、感情はコントロールされない。
そういうひとつのステレオタイプができているのかな?と思いました。
単純に、「実力あって普段は大人しいイケメンがあるとき急に攻撃的になる」というエピソードは女子受けがいい、というだけのことかもしれません。
  が、こういった自己表現のあり方自体はあまり成熟した人格によるものではないように感じられます…
少し子どもっぽい…

松坂桃李やキムタクや玉木宏なら、もっと成熟したキャラクターを演じても十分カッコ良く映るのではないでしょうか。
  
そんな細かいところばかり気になってしまうのでした。


西田敏行はすごいと思った。
ギャラを相当取るらしい、という噂を聞いたことがあり、その真偽は不明ですが、もし本当でもこれならその値打ちがあるのかも、と思ったり。

あと、これは西田敏行のセリフで完全に下ネタなのですが、気に入ったセリフがありました。リードを出し惜しみしていたオーボエ吹きを一喝するときのセリフなのですが…まぁ下ネタなので、ここに書くのはやめておきます…