夜ふかし録

夜がふかまると目が冴えてくる

「火を熾す」(ジャック・ロンドン、柴田元幸訳)

  • 生きるか死ぬかの極限状態
  • 隔絶されている二者の対立
  • 圧倒的な自然とその前にあって無力な個体

ひとつひとつに共通する背景をあげると、以上のようなものが挙がる。

また、

  • あくまで現実的で、不可思議な展開や唐突な抽象表現がない

という特徴(特長)があり、比較的誰にでも受け入れられるお話の束になっていると思う。カタルシスも用意されている。

 

自然の冷厳さが徹底的に覆らない一方で、自然に負けゆく個人の、狡猾で現実的な抵抗や素直な落胆が丁寧に表現されているところが美点で、無常観みたいな悟りよりは生身の感覚に近いし、老いて死が近い人でなくても共感できるような感情へと落とし込められている。

個人的に気に入った話は「生の掟」「メキシコ人」でした。

中学3年生くらいで一度読んでおくといいのではないかな。

f:id:tita144:20140614165000j:plain