夜ふかし録

クラリネットの条件検討

夜更かし

この投稿はほんとうに夜ふかし録です(時間帯的に)。

眠れなくて。明日は病院見学なのに。

 

「中国化する日本」という文庫本があります。與那覇潤さんという、愛知の大学で史学を教えている若手の研究者が書いた本。

筆者も自覚しているように誤解されやすいタイトルですが、嫌中・嫌韓的主張でもなければ親中的内容でもなく、では何をしているかというと、「中国化」「(再)江戸時代化」という二つの方向性で近世から近代・現代の日本史の流れを説明しようという試みです。(筆者は、このような説明の仕方は今の業界標準であり、筆者のオリジナリティではないと断っています。が、その点については普通の読者は判断できません。)

 

何をもって中国化/江戸時代化としているかは本を読んでみたほうがいいと思うのですが、たしかにこの尺度を使うと、強引ではあるが日本の社会のあり方が説明できているように思えます。

それ以上に、この筆者がどの時代を論ずるときも一貫して批判的であることが、好感が持てるなと思うポイントでありました。

「この時代の日本はよくて、あの時代はダメ」ではなく、「一貫して基本的にイマイチ」という書き方。じゃあどうすればいいんだよ、とは思いますが…

また、「江戸時代化」というアイデア、言葉の使い方は今までも読んだことがありましたが(言葉遣いは違ったと思います)、それに対立する方向の働きかけに「中国化」という言葉をつかったのも面白いなと感じました。

 

筆者は「江戸時代化」の働きかけがあまり好きでなく、相対的に「中国化」の働きかけを望んでいるように読めるので、その点で読者によっては反感なりなんなりを覚えるかもしれませんね。

この本自体を批判的に読む限り、面白く読書できる本だと思います。

(この本にかぎらず、政治的内容を含む書物を盲信的に読むことは危険だと思います)

 

…おもしろく読めたのですが、こういう時間的/空間的にとてもマクロな視点で書かれた本を読むと、しばらく眩暈がしてしまう。