夜ふかし録

クラリネットの条件検討

ひらひらした音

音色のよさは説得力になると考えます。
同じ口説き文句でも、イケメンの口から発されるものとあまりパッとしない男の口から出たものでは効用が違うように。
描写しているものが同じでも、村上春樹の文体とよしもとばななの文体では印象が変わるように。
あるいは、イケメンならばどんな台詞もサマになるかといえばそうではないね。
勝新太郎に似合う荒っぽい台詞を甘い出で立ちのジャニーズがそのまま言っても、チグハグになる可能性が高い。

音楽家にとって音色はそのようなものかと思う。

クラリネット吹きにとって、音色を変える手っ取り早い方法は…ないかもしれない。

音色を決定的に支配しているのは奏法だと思うからです。


ただ、劇的に変わる方法は無くても、文体の「てにをは」を整え句読点を整理したり、文字を描いているインクの色をすこしだけ変えるくらいのことは気をつければできるはずだ。

それはマウスピースを別の型のものにしたり、タンギングアーティキュレーションに心を砕いてみることなのではないかなと思います。
ときには、音色の欠点だと思っていたものが音程(ピッチ)の欠点だったりすることもあるのではないか。


そういう考えで、このブログではマウスピースやそれに合うリードのお話を延々し続けているわけです。

このあいだは、だれかがはやい指回しのフレーズを練習しているのを聴いて、ひらひらしたいい音だなぁとしみじみ思った。


マウスピースが全てではないということは前提として、それ固有の傾向や"地"の色がありそうに思える。